1. はじめに:衰えを感じて悲しくなるのは、あなただけではありません
施設に面会に来て、お父様やお母様の姿に「以前より衰えたな……」と感じ、胸が締め付けられるような思いをされるのは、決してあなただけではありません。 誰にでもある自然な感情ですし、それほどまでに、元気だった頃の思い出を大切にされている証拠なのだと思います。けれど、その「悲しみ」を少しだけ「労い」に変えることができたら、面会の時間はもっと温かいものになるはずです。この記事を通して、切ないお気持ちを優しいぬくもりに変えるお手伝いができれば幸いです。
2. 「もうできない」を「今までありがとう」に
「もう歩けなくなってしまったのね」と、失われたものに目を向けると、どうしても心はマイナスに傾いてしまいます。そんなご家族様の不安な心は、言葉にしなくても、ご入居者様にそっと伝わってしまうものです。 せっかくの面会時間です。お互いが穏やかに過ごせるよう、そんな時はどうか視点を変えてみてください。 「今まで、この足で一生懸命歩いてきてくれたんだね。お疲れ様」 というように。出来なくなったことを悲しむのではなく、今日まで頑張ってきたそのお体と時間を、優しく労わってあげてほしいのです。
3. 「今、できること」を宝探しするように見つける
歩くことは難しくなったけれど、こうして向かい合って座ることができる。 お喋りはできなくなったけれど、優しく視線を合わせることができる。 食事は摂れなくなったけれど、握った手からぬくもりを感じ取ることができる。 たとえ些細なことでも、今のその人にしかできない「プラス」が必ずあります。その一つひとつを、宝探しをするような気持ちで探してみませんか。
ご家族様だけでなく、ご入居者様ご自身も「できなくなった自分」に嘆き、葛藤されています。そんな中、誰よりも身近な存在であるご家族様に「今のプラス」を見つけてもらえたら、これほど嬉しいことはありません。悔しいですが、私たち職員が100回お伝えするよりも、ご家族様が見つけてくださる一回の「プラス」の方が、ご本人の喜びは格段に大きいものなのです。
4. ご家族様の前で「見栄を張る」ご入居者様の健気さ
実は、ご入居者様はご家族様を悲しませないよう、こっそり「見栄」を張っていることがよくあります。 普段は一日中ウトウトされている方が、面会の時だけは必死に目を覚ましている。 普段は背中を丸めている方が、ご家族様の前ではシャキッと姿勢良く座ろうと頑張っている。 「前より寝てばかりね」と感じるその数分間は、ご入居者様があなたのために振り振り絞った、精一杯の「頑張り」の結果かもしれません。そう思うと、今のありのままの姿が、より愛おしく感じられませんか?
5. 難しければ、ぜひ私たち職員の手を借りてください
どうしてもマイナスな部分ばかりが気になって苦しい時は、遠慮なく私たち職員に聞いてみてください。 施設職員は、ご入居者様の「素敵な見栄」をよく知っています。ご本人のプライドを思えば種明かしは無粋かもしれませんが、その健気な頑張りを伝えたくて、私たちはいつもウズウズしております。
- 「今、〇〇さんが頑張っていることは何ですか?」
- 「最近、できるようになった小さなことはありますか?」
- 「普段はどのように過ごされているのですか?」
- 「今日の面会の時の姿は、いつもと同じですか?」
私たちは、日々の暮らしの中でご入居者様が見せる「プラスの瞬間」をたくさん知っています。ご家族様の前では見せない意外な一面や、小さな成長を、職員が代わりに丁寧にお伝えします。
6. まとめ:「今」を肯定することが、お互いの笑顔に繋がる
「出来なくなったこと」を数えるのをやめて、「今ここにあること」を慈しむ。その視点の変化は、ご入居者様にとっても「今の自分を丸ごと認めてもらえている」という大きな安心感に繋がります。
次回の面会では、ぜひ「頑張ってきたね」という労いと、「今日も会えて嬉しい」というプラスの気持ちを届けてみてください。私たち職員も、その温かな時間を全力でサポートさせていただきます。



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