不適切ケアとは何か:まずは状況を正しく理解する
「不適切ケア」とは、直接的な虐待とまではいかなくても、その一歩手前、あるいは事故や精神的な傷つきにつながる可能性のあるケアを指します。
例えば、
- ベッドへ寝かせる際に掛け布団を勢いよくかける
- 「あの人のナースコールはいつも大したことがないから」と後回しにする
身体的な怪我がなくても、
- 職員としてふさわしくない対応
- 偶然何も起きていないだけで、今後事故につながる可能性がある行為
- ご入居者様が精神的に深く傷つく対応
これらはすべて不適切ケアに該当します。
不適切ケアの報告は、ご家族様にとって大きな不安と動揺をもたらします。 しかし、感情的にならず冷静に対応することが、問題の早期解決とご家族様の安全確保につながります。
不適切ケアの報告を受けると、どうしても心が大きく揺れ動きます。 「誰にも話せない」「どう受け止めればいいのかわからない」というお気持ちも、決して珍しくありません。
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報告の受け止め方:感情よりも事実を優先する
報告者の立場を確認する
まず、「誰からの報告か」を確認しましょう。
- 課長・施設長・部署リーダーなど施設内部からの指摘 →施設として改善しようとする姿勢がある可能性
- 外部職員や団体からの報告 →施設内での解決が難しく、職場風土に問題がある可能性
報告者の立場を知ることで、施設の状況が見えてきます。
感情的にならず、事実確認に徹する
大切なご家族様に危険があったと知れば、怒りや不安が湧くのは当然です。 しかし、この段階で「訴訟」「慰謝料」「弁護士」などの言葉を出すのは避けましょう。 話が複雑化し、解決が遠のくことがあります。
事実確認とは、
- 何が
- いつ
- どこで
- 誰によって
- どのように行われたのか
曖昧な点がないよう、丁寧に確認することです。 早期報告では情報が不足していることも多いため、正確な情報が分かり次第、再度報告してほしい旨を伝えましょう。
事実確認と情報収集:状況を具体的に把握する
施設への問い合わせ
電話での確認 外部からの報告だった場合、施設へ直接状況を確認します。感情的にならず、具体的な情報を引き出すことに集中します。
直接面談の申し出 電話で納得できない場合は、施設訪問を依頼します。遠距離の場合は、改めて電話で詳しく聞くことも大切です。
記録の開示請求 必要に応じて、介護記録やヒヤリハット報告書の開示を求めます。ただし、他のご家族様の情報が含まれる場合は確認が難しいこともあります。
ご入居者様の安全確認
- 現在の安全確保 不適切ケアが継続していないか、新たな危険がないかを確認します。
- ご本人からの聞き取り 身体的・精神的な変化、困っていることがないかを直接聞きます。 遠距離の場合は、電話や手紙で「あなたの味方であること」を伝えることが大切です。
解決へのステップ:順序を踏んで進める
施設内の苦情窓口の利用
施設との話し合いで解決しない場合は、苦情窓口へ相談します。
書面で提出し、記録を残すことも有効です。
第三者機関への相談
施設内での解決が難しい場合は、以下の機関を検討します。
- 地域の高齢者虐待防止センター
- 国保連の介護保険サービス苦情相談窓口
- 自治体の介護保険課
弁護士への相談は、これらの公的窓口を利用した上で、最終手段として検討します。
「争う」のではなく「解決と安全を求める」姿勢で
施設と敵対する姿勢ではなく、 「施設に改善と安全を求める」というスタンスが大切です。
感情的になる必要はありませんが、
- 論理的に状況を説明し
- 具体的な改善策と再発防止策を求め
- 二度と同じことが起きないよう確認する
これが、ご家族様とご本人様を守る最も確実な方法です。
結論:冷静な対応が、ご家族様の安全につながる
不適切ケアの報告は、誰にとっても辛い出来事です。 しかし、事実が発覚しなかった場合のほうが危険です。
冷静に事実を把握し、段階的に適切な対応を取ることで、 問題の解決とご家族様の安全確保につながります。
精神的な負担が大きい問題だからこそ、 一人で抱え込まず、相談することを強くおすすめします。

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