1. はじめに
施設に入所しているご家族がいると、施設から電話があり「○○を購入していただいてもいいですか?」と連絡が入ることがあると思います。物品購入の依頼があるということは、その物が施設では用意できないものであり、かつ入居者様の生活に欠かせないものであるということです。
しかし、ご家族様の中には「今は忙しくて買い物に行けない」「買うことはできてもすぐに届けられない」「たったこれだけを届けるために、交通費をかけて行くのは大変」と感じることもあるでしょう。施設から「できるだけ早めに……」と言われて、戸惑いや負担を感じてしまうのは自然なことです。
この記事では、購入依頼を受けたご家族様と施設側、双方にとってより良い解決策を提案します。お互いが安心して協力し合える関係を築くためのお手伝いができれば幸いです。
2. 施設の本音
2-1. 衣類・日用品の購入について
施設から肌着などの衣類を依頼された場合、特に肌着は毎日使うものなので、職員としては早めの用意を希望しています。すぐに購入して届けることが難しい場合は、「施設で購入をお願いできませんか?」と相談してみるのも一つの手です。
ただし、施設によっては必ずしも対応できるわけではありません。また、施設経由での購入は、提携している衣料品店での定価購入や、オンライン購入時の送料追加などにより、ご自身で買うよりも費用が高くなる可能性があることは承知しておいてください。
もし、すぐに用意するのが難しい場合は、遠慮なく「すぐには難しいです」と施設に伝えてください。職員は依頼した後、なかなか(ひと月くらい)届かないと「先日お願いした件、どうなりましたか?」と催促の連絡をせざるを得ないことがあります。「〇月までは届けられない」とはっきり伝えておくことで、施設側も状況を把握でき、不要な催促を控えることができます。
店舗へ行く時間が取れない場合は、ネット注文で施設へ直接配送する方法も非常に有効です。その際は、事前に「〇月〇日の〇時ごろ、依頼された品物が届きます」と一言連絡を入れましょう。配送伝票の宛名には「施設名」だけでなく「入居者様のお名前」を明記し、送り主が「ご家族様」であることをはっきりさせておくと、施設側も不審物と間違えることなく安心して受け取れます。
また、着払いや代引きは施設側での現金管理や精算の手間が発生し、トラブルの要因になることもあります。施設側の負担を減らすためにも、送料や代金は必ず事前に支払っておくようにしましょう。
2-2. 入居者様の精神的な安定に関わる物品について
認知力の低下により、時計や眼鏡など、以前から身に着けていたものや常に目に付く場所にあったものがないことで、入居者様が「不穏(ふおん)」な状態になるケースがあります。
例えば、長年愛用していた腕時計がないと、「どこかに忘れてきたのかもしれない」「誰かに盗まれたのかもしれない」という強い不安に襲われることがあります。職員が「娘さんが預かっていますよ」と説明しても、ご本人の目に見える場所に物がない限り、不安が晴れず毎日を落ち着かなく過ごすことになりかねません。
こうした精神的な不安定さは、不眠、食欲減退、便秘といった体調面への悪影響や、他の入居者様とのトラブルにつながることもあります。物品の依頼があった際は、「すぐに必要なものか」「次回の訪問時で大丈夫なものか」など、お届け時期の目安を必ず確認するようにしましょう。
3. 具体的解決策:事前準備とコミュニケーションの重要性
「○○の購入をお願いします」と施設から言われたら、以下のポイントを確認しましょう。
施設への確認事項
1.期限の確認「いつまでにお届けすればいいですか?」「次の面会予定の〇月〇日でも間に合いますか?」と期限を明確にしましょう。
2.使用目的の確認「何に使うのでしょうか?」「どのような時に必要になりますか?」と確認しておくと、納得して準備ができます。
ネット通販を利用する場合のポイント
1.事前連絡「〇日の〇時に届きます」とあらかじめ伝えておきましょう。
2.宛先の指定「施設名 + 入居者様名 + 〇〇(ご家族名)様より」と配送先を指定しましょう。
3.送料・代金の支払い施設側での立て替えが発生しないよう、決済は済ませておきましょう。
4. 施設との円滑なコミュニケーションのために
施設側は「生活に欠かせないけれど、施設では用意できないもの」をご家族に依頼します。しかし、「パジャマはたくさん持たせたはずなのに……」「時計なんて備え付けのものを見ればいいのでは?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
少しでもモヤモヤした場合は、遠慮なく「たくさん持って行ったと思うのですが、足りなかったですか?」「どういった時に使うのですか?」と、一歩踏み込んで具体的な状況を尋ねてみてください。また、面会時に購入したものが使われていないように見えたら、「先日購入した時計は、いつ使用していますか?」とさりげなく聞いてみるのも良いでしょう。
「入所初日はその物がなくて眠れなかったけれど、環境に慣れて必要なくなった」といった事情があるかもしれません。理由を知ることで、ご家族のモヤモヤも解消されます。
また、施設に購入を代行してもらう場合は、費用負担の目安を伝えておくと安心です。「3,000円を超えるものを購入する場合は、一度連絡をください」など、具体的な金額を事前に伝えておけば、職員も判断しやすくなり、後からの金銭トラブルを防げます。
5. まとめ
施設から物品の購入依頼がきたら、まずは「いつまでに」という期限を必ず確認しましょう。その期限が難しい場合は、正直に伝えた上で「施設での購入代行」や「郵送での配達」などの代替案を相談してみてください。
このブログが、ご家族と施設がより良いパートナーシップを築き、入居者様にとって快適で安心できる生活環境を提供するための一助となれば幸いです。小さな疑問や不安も、積極的にコミュニケーションを取ることで解消され、信頼関係が深まります。ぜひ、今日から実践してみてください。


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