【施設職員の本音】「転倒しました」報告。ご家族様の不安を安心に変える、施設との賢い向き合い方

施設とのコミュニケーション

はじめに

介護施設から「転倒しました」と連絡を受けたとき、 胸がぎゅっと締めつけられるような不安を感じるご家族様は少なくありません。

「ちゃんと見ていてくれたの?」 「ケガは大丈夫なの?」 「また起きたらどうしよう…」

大切な人の身に起きたことだからこそ、冷静ではいられない── この記事は、そんな “不安の中でどう対応すればいいのか迷っているご家族様” に向けて書いています。

転倒は、施設を責めるべき出来事ではなく、 「なぜ起きたのか」「次にどう防ぐか」を一緒に考えるための大切な対話の機会 です。

この記事を読むことで、

  • 転倒報告を受けた直後に、まず確認すべきポイント
  • 職員が本音で伝えたい「事故時の背景」
  • 説明に納得できないときの、穏やかで効果的な伝え方
  • 再発防止につながる具体的な対策の聞き方
  • 施設との関係を悪くせず、むしろ強めながら安心を得る方法

がわかり、 「どう動けばいいのか分からない不安」から一歩抜け出せる導入 になっています。

ご家族様の大切な方が、これからも安心して過ごせるように── そのための“落ち着いて確認できる道しるべ”として、この記事をお役立てください。

施設からの連絡頻度、連絡内容にお悩みの方はこちらの記事も参考にどうぞ。ご家族様との連絡をもっと安心に。施設とのやり取りが楽になるコツ | 施設のほんね帖

施設職員の【本当の】想いと、ご家族様へのお願い

施設職員も、ご入居者様の転倒事故は心から避けたいと考えています。 これは建前ではなく、現場で働く職員の本音です。

ただ、高齢者の生活では、どれほど注意を払っていても転倒を完全にゼロにすることは難しいのが現実です。だからこそ事故が起きた際には、

  • なぜ起きたのか
  • 防げた可能性はあったのか
  • 次にどうすれば防げるのか

を真剣に考え、ご家族様へ迅速に報告するよう努めています。

しかし、報告の場で 「責任はどう取るんですか」 「情報開示してください」 といった強い言葉が続くと、職員は防衛的になり、必要な情報を十分に伝えられなくなることがあります。

その結果、ご本人らしい生活を尊重した対策ではなく、 「危ないからやらせない」 という生活を制限する方向に傾いてしまう可能性もあります。

ご家族様の大切な方が、いきいきと過ごせるためにも、穏やかな対話を心がけていただけると、より良い再発防止策につながります。

転倒報告を受けたら、まず確認したい大切なこと【施設職員が教える4つのポイント】

連絡を受けたら、まずは深呼吸して、落ち着いて以下の4つのポイントを確認してみましょう。これが、ご家族様の安心に繋がる第一歩です。

① いつ起きたのか

転倒が起きた時間帯は、その原因を探る上で大切な手がかりになります。

•夜間:トイレへの移動中ではありませんでしたか? 夜間の視界の悪さや、眠気によるふらつきが関係しているかもしれません。

•食後:食後の満腹感や、お薬の影響で、お部屋へ戻る際にふらつきがあった可能性は考えられますか?

•入浴前後:入浴によるお疲れや、湯冷めによるふらつきが原因だったのかもしれません。

② どこで起きたのか

転倒した場所は、具体的な予防策を考える上で非常に重要です。危険な場所を特定し、対策を検討していきましょう。

•ベッド横:起き上がり時のふらつきはありませんでしたか? ベッドからの転落防止策は適切でしょうか?

•トイレ:急いでいらっしゃいましたか? 手すりの位置は使いやすかったでしょうか?

•廊下:歩行補助具は適切に使われていましたか? 照明の明るさは十分でしたか?

•食堂:お食事中の姿勢や、移動時の介助は適切でしたか?

•浴室前:床の滑りやすさや、脱衣所でのふらつき対策は万全でしたか?

③ どうして起きたのか(施設の見立てを丁寧に聞きましょう)

施設側からの見立てを、まずはじっくりと聞いてみましょう。そして、さらに詳しく質問することで、より深い原因が見えてくることもあります。

•「歩行が不安定だった」:なぜ不安定だったのでしょうか? その日の体調、履物、歩行補助具の状況など、具体的な要因について尋ねてみましょう。

•「トイレで焦っていた」:なぜ焦ってしまったのでしょうか? トイレへの誘導のタイミング、間に合わないことへの不安、認知症の影響など、背景にある気持ちを考えてみましょう。

•「ご本人が一人で動こうとした」:なぜ一人で動こうとされたのでしょうか? 介助を待てなかった理由、ご本人の意思、職員の見守り体制など、様々な側面から考えてみましょう。

•「認知症による判断の難しさ」:具体的にどのような判断の難しさがあったのでしょうか? それに対して施設側はどのように対応されたのか、確認してみましょう。

④ 今後の防止策(ご家族様の安心に繋がる具体的な対策を)

ここが、ご家族様にとって最も大切なポイントです。「次はこうします」という具体的な対策が明確であればあるほど、安心感に繋がります。曖昧な返答ではなく、具体的な内容を確認していきましょう。

•センサーマット導入:具体的にどの場所に、どのようなタイプのものを導入する予定でしょうか?

•見守り強化:具体的にどの時間帯に、誰が、どのように見守りを強化してくださるのでしょうか?

•トイレ誘導の時間調整:ご本人の排泄パターンに合わせて、どのように調整してくださるのでしょうか?

•歩行器の使用見直し:現在の歩行器は適切でしょうか? 別のタイプを検討したり、使用方法を再指導したりする予定はありますか?

•医師への相談:転倒の原因が身体的なものの場合、医師にどのような情報を伝え、どのような指示を仰ぐ予定でしょうか?

もし、説明に納得できないと感じたら…【施設職員が教える次のステップ】

説明を受けて納得できれば、それが一番です。しかし、中には「説明が曖昧に感じる」「『よくあることです』と軽く流された気がする」「誠実さが伝わってこない」「予防策がはっきりしない」と感じることもあるかもしれません。そんな時は、遠慮せずに、しかし穏やかに、段階を踏んで確認を進めてみましょう。

① 電話で納得できなければ「面会で直接お話ししましょう」

電話だけでは、なかなか伝わりにくいことも多いものです。もし納得できないと感じたら、面会時に直接、詳しくお話しする機会を設けてもらいましょう。可能であれば、転倒が起きた場所で、実際にどのように転倒したのか、状況を説明してもらうのも良いでしょう。実際に見て聞くことで、理解が深まることもあります。

② それでも解決しない場合は「外部の相談窓口も活用しましょう」

いきなり行政や警察ではなく、

  • 施設の相談窓口
  • 相談員
  • 第三者相談窓口

の順で段階を踏むことが、関係性を保ちながら解決につながります。

「クレーマーだと思われたらどうしよう」と不安になるお気持ちも、よくわかります。しかし、大切なご家族の安全を守るために、予防策をしっかりと確認することは、ご家族様として当然の権利であり、責任です。遠慮しすぎる必要は決してありません。ご自身の気持ちを大切に、穏やかに、しかししっかりと向き合っていきましょう。大切なのは「責任追及」よりも「再発防止」への協力です。

施設とのコミュニケーション方法については、こちらの記事も参考にどうぞ。施設への要望の伝え方/クレーマーにならないコツと職員の本音【介護家族向け】 | 施設のほんね帖

まとめ:施設と家族は「チーム」!再発防止で安心を

施設からの転倒報告を受けた時に、最も大切なのは「誰かを責めること」ではありません。本当に大切なのは、「今後、同じような転倒が起きないように、どうすれば良いか」を施設と一緒に考えることです。感情的になりやすい状況ですが、冷静に「いつ」「どこで」「なぜ」「今後どう防ぐか」の4つのポイントを確認することに心を配ってみてください。

施設と対立するのではなく、ご家族様の大切な方を守る「チーム」の一員として、建設的な対話を心がけること。それが結果的に、ご家族様にとって一番安心で、安全な生活に繋がるはずです。不安だからこそ、穏やかに。遠慮しすぎず、しかし相手を思いやる気持ちも忘れずに。このバランスが、施設との良好な関係を築き、ご家族様の安全を守る鍵となります。どうか、ご家族の皆様が、安心して大切な方を施設に預けられるよう、応援しています。

「これでいいのかな」と迷いながら毎日を頑張っている方ほど、心のケアが後回しになりがちです。 ほんの少し、自分の気持ちを整える時間を持つだけで、毎日の関わり方がやさしく変わっていきます。

「相談するほどじゃないかも…」と思う気持ちも、とても自然なことです。 もし心が疲れていると感じたら、選択肢のひとつとして思い出してもらえたら嬉しいです。

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