もの盗られ妄想が強いご家族様との面会を、安心の時間に変える方法

日々の生活・面会

はじめに

認知症のご家族様と面会するとき、 「財布を盗まれた」「誰かが部屋に入ってきた」といった訴えが続くと、 どう接したらいいのか分からなくなってしまうことがあります。

疑われるのはつらいし、否定すれば余計に不安を強めてしまう…。 面会の時間が“楽しみ”ではなく“緊張の時間”になってしまう方も少なくありません。

この記事では、もの盗られ妄想が強い時に面会へ行くご家族様に向けて、 今日から使える“心がラクになる関わり方のコツ”をまとめました。 面会中の声かけ、話題の選び方、持ち物の工夫などを知ることで、 「これならできそう」と思える面会の時間を取り戻すヒントになります。

面会前に知っておくと心が軽くなること

●職員は「よくあること」と理解している

施設職員は、もの盗られ妄想が認知症の典型的な症状であることを熟知しています。 名指しで疑われても、個人攻撃とは受け取りません。 ご家族様が気に病む必要はありません。

●「今日はどんな状態かな?」を事前に聞いておく

面会前に職員へ 「最近、落ち着いていますか?」 「今日はどんな様子でしたか?」 と一言聞いておくと、心の準備ができます。 その日の調子を知っておくことで、心の負担がぐっと軽くなります。

3. 面会中の“火種を増やさない”コツ

① 否定しない

「盗んでないよ!」 「そんなこと言わないで」 「職員さんにお世話になってるのに失礼でしょ!」 と否定すると、ご本人様の不安が一気に強まります。

代わりに、事実よりも安心を優先する言葉を使います。

例: 「心配だよね。大切なものだもんね。」 「一緒に確認してみようか。」

② 話題を“安心できる領域”へそっと誘導する

妄想の話題が続くときは、ゆっくり別の話題へ移します。

  • 昔の思い出
  • 季節の話
  • 好きな食べ物
  • 家族の近況(刺激の少ない内容)

ポイント: 「否定→説得」ではなく 「共感→安心→話題転換」の流れが効果的です。

ご本人様も「盗られた」と思い続けている状態は疲労につながります。 話題の転換は、精神的負担を減らす大切なケアになります。

③「預かっている」という魔法の言葉

ご本人様が財布や鍵に強い不安を持っている場合、 面会時にこう伝えると落ち着くことがあります。

例: 「大切なものだから、私が預かっているよ。 確認したいときはいつでも言ってね。」

この言葉は、 “奪われた”ではなく“守られている” という感覚をつくり出します。

4. 面会後にできるフォロー

●職員に「今日の様子」を共有する

  • 妄想が強かったか
  • どんな言葉で落ち着いたか
  • どの話題が安心につながったか

職員はその情報をケアに活かせます。

●次回の面会時間を調整する

妄想が強い時間帯がある場合、 職員と相談して「比較的落ち着いている時間」に面会をずらすこともできます。

認知症の症状には“夕暮れ症候群”のように、 時間帯によって不安が強くなるケースもあります。 その特性を踏まえて面会時間を調整すると、負担が大きく減ります。

5. もの盗られ妄想が強い時の“持ち物”の工夫

●スマートタグ(発信機)

財布や鍵にタグをつけておくと、 面会中に一緒に探すとき「音が鳴る体験」が安心につながります。

●ダミー財布・ダミー鍵

本物を失くす不安が強い方には、 “見た目が同じで中身が空”のダミーを使う方法もあります。

中身があろうがなかろうが、 「大切なものがここにある」と目で把握できることは安心につながります。 施設でもよく使われる工夫です。

●見守りカメラを「守る存在」として伝える

「これが見張ってくれているから、誰も触れませんよ」 と伝えるだけで、妄想が落ち着くことがあります。

6. ご家族様へのメッセージ

もの盗られ妄想は、ご本人様の「世界を守るための必死の行動」です。 あなたを疑っているわけではありません。 あなたの関わりは、必ずご本人様の安心につながっています。

面会がつらいと感じる日は、少し休んでも大丈夫です。

「これでいいのかな」と迷いながら毎日を頑張っている方ほど、心のケアが後回しになりがちです。 ほんの少し、自分の気持ちを整える時間を持つだけで、毎日の関わり方がやさしく変わっていきます。

「相談するほどじゃないかも…」と思う気持ちも、とても自然なことです。 もし心が疲れていると感じたら、選択肢のひとつとして思い出してもらえたら嬉しいです。

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