【施設のほんね】「盗まれた!」と疑われたら。ご家族に知ってほしい心の守り方と一工夫

日々の生活・面会

施設に入居しているご家族様が「財布を盗まれた!」「誰かが部屋に入ってきた!」と訴える。 ご家族様からすれば、一生懸命お世話をしているのに疑われるのは悲しいですし、施設の方に詰め寄っている姿を見るのも「申し訳ない……」と肩身の狭い思いをしてしまいますよね。

こうした「もの盗られ妄想」は、認知症の症状としては非常によくあるケースです。 今回は、その背景にある心理と、現場の職員の本音、そして今日から試せるちょっとした工夫についてまとめてみました。この記事が参考になれば幸いです。


なぜ「盗まれた」ことになってしまうのか?

主な原因は、短期記憶の低下です。

  • 置いた場所を忘れる: 「自分で隠した」という記憶が消えてしまう。
  • 探す能力の低下: 目の前にあるのに見つけられない、あるいは論理的に探せない。

ご本人様からすれば「ここにあるはずのモノがない」という事実は揺るぎません。そこで「誰かが持っていったに違いない」と理由を後付けすることで、自分の世界の整合性を保とうとしているのです。


施設職員の「本音」と対応

「スタッフさんに迷惑をかけて申し訳ない」と自分を責めるご家族様も多いですが、現場の職員はこう考えています。

  • 「よくあること」なので気にしないで! 職員は、これが病気の症状であることを熟知しています。疑われたからといってショックを受けたり、ご家族様を責めたりすることはありません。
  • 関わり方の調整 もし特定の職員が名指しで疑われてしまった場合、ご入居者様の心の平穏を第一に考え、担当や配置を変えて接触を減らすなどの柔軟な対応も行います。これは「逃げ」ではなく、ご本人様の不安を増幅させないための戦略です。

ご本人様を安心させるための「一工夫」

「盗んでない!」と否定すると火に油を注ぐことになりかねません。大切なのは「私はあなたの味方である」と伝えることです。

1. 「預かっている」という魔法の言葉

「盗んだ」のではなく「大切なものだから、私が責任を持って預かっているよ」と伝えてみましょう。「確認したいときはいつでも言ってね」と付け加えることで、ご本人様の支配感(自分で管理できている感覚)を守ることができます。

2. 発信機(紛失防止タグ)の活用

財布や鍵など、特定のモノに執着がある場合は、スマートタグ(音が出る発信機)が有効です。

  • ポイント: モノがなくなったら、一緒に手元のボタンを押して音を鳴らします。
  • 効果: 魔法のようにモノが見つかる体験を共有することで、「一緒に探してくれる味方だ」という信頼関係が築けます。

3. 「見守りカメラ」を安心の象徴に

防犯カメラを「監視」ではなく、「あなたを守るガードマン」として導入する考え方です。 「これで見張っているから、誰も手を出せませんよ」と伝えるだけで、パニックが収まることもあります。ご本人様が安心するのであれば、電源の入っていないダミーカメラでも十分な効果を発揮することがあります。


「盗まれた」という言葉の裏には、「大切なものを失うのが怖い」というご本人様の強い不安が隠れています。 ご家族様だけで抱え込まず、「これも症状のひとつ」と割り切って、便利なツールや施設の力を借りながら、少しでも心穏やかな時間を増やしていきましょう。

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