「えっ、クッションがこんなに高いの?」施設から購入を勧められたときに知ってほしい、大切な役割

日々の生活・面会

1. はじめに

施設から「クッションを数点用意してください」「購入しても良いでしょうか?」と言われ、いざ価格を見て「えっ、高額!」と驚かれる方は少なくありません。 実は……施設職員から見ても「やっぱり高いなぁ」と感じるのが本音です。

「家にある普通のクッションじゃダメなの?」「バスタオルで代用できないの?」 そんなご家族の率直な疑問に、施設職員の本音を交えてお答えします。

2. なぜ「ポジショニング」が必要なのか?

介護の分野には「ポジショニング」という大切なケアがあります。 少し難しい定義では「高齢者が自立した生活を送るために、椅子や車椅子等で快適に過ごせるよう姿勢を整えること」とされています。

もっと身近な例で考えてみましょう。 皆様も椅子に座る際、背もたれが直角のパイプ椅子よりも、映画館のシートやマッサージチェアのように、少し角度があって体を包み込んでくれる椅子のほうが、長時間楽に座っていられますよね。 つまり、「座っているとき、寝ているときの姿勢を、より楽で心地よいものにする工夫」、それがポジショニングです。

楽な姿勢になることは、単に「気持ちいい」だけでなく、実は以下の3つの大きな効果があります。

  • 拘縮(こうしゅく)を防ぐ: 体が固まってしまうのを防ぎ、着替えの時の痛みや負担を減らします。
  • 「むせ」の予防: 喉が通りやすい姿勢になることで、飲み込みがスムーズになり、誤嚥(ごえん)のリスクを下げます。
  • 心に活気が戻る: 正しい姿勢で座ると視界が広がり、周囲を見渡したり、誰かと話したりする意欲が自然と湧いてきます。

ポジショニングは、寿命を劇的に延ばす魔法ではありません。しかし、「痛みなく過ごせる時間」「美味しく食べられる期間」「笑顔で会話ができる機会」を支える、何より大切なケアなのです。

3. 高価な専用クッション、その「機能」のヒミツ

「100円ショップや家具店のクッションではダメなの?」という疑問。 実は、専用品には過酷な介護現場に耐えうる「3つのスペック」が備わっています。

  • 体圧分散: 体の一部だけに重み(圧力)が集中して床ずれが起きないよう、特殊な中材で計算されています。
  • 耐久性と清潔さ: 毎日24時間使い、何度も洗濯・消毒を繰り返しても型崩れしない、驚くほどの丈夫さを持っています。
  • 保持力(キープ力): バスタオルでも代用は可能ですが、時間が経つと重みで潰れたりズレたりしがちです。専用クッションは「理想の姿勢」を長くキープする力が違います。

4. クッションの提案は「施設からのラブレター」

実は、ポジショニングの提案は、どの施設でも当たり前に行われているわけではありません。 一人の入居者様にクッションを提案するまでには、実はこれだけのドラマがあります。

  1. 介護職員が日々の生活の中で「最近、姿勢が崩れやすくなっているな」と気づく
  2. 理学療法士などのリハビリ専門職が、お体の状態を詳しく分析する。
  3. 多職種で「どのクッションが最適か」「どう配置すれば一番楽か」を検討する。
  4. 導入後も、苦しそうではないか職員が観察し続ける。

もし職員が「いつも通りだから」と見逃してしまえば、提案すらありません。 「クッションを購入してもよいでしょうか?」という言葉は、「私たちは、あなたの大切なご家族の小さな変化を見逃さず、もっと心地よく過ごしてほしいと願っています」という、施設からのメッセージ(ラブレター)でもあるのです。

5. おわりに

お見積もりの金額だけを見ると、驚かれるのも無理はありません。 ですが、その一つのクッションが、ご本人様の「笑顔で話せる時間」や「おいしい食事」を支える大切な土台になります。

すぐには目に見える効果が出にくい地道なケアですが、長い目で見るとご本人様の暮らしを大きく変える力を持っています。もし提案があった際は、ぜひ「どんな風に使うの?」と職員に聞いてみてください。喜んでその熱意をお伝えします。

現場で信頼されているクッションたち

もし施設から「お任せします」と言われたり、ご自身で探してみたいと思われたりした時のために、私が現場で実際に使っていて「これは使いやすい!」と感じるものを2つピックアップしておきます。

1. ロンボポジショニングクッション(スネーククッション等)

ベッドで寝ている時間が長い方におすすめです。例えば、仰向けでお尻の下から太ももの裏にかけて敷くと、膝裏の隙間がピタッと埋まります。 隙間が埋まることで「面」で体を支えられるようになり、体圧が分散されて褥瘡(じょくそう・床ずれ)の予防になります。中材がへたりにくいのも現場での評価が高いポイントです。

2. ロホクッション

車いすに長時間座ることが多い方の強い味方です。空気の力で座っている時の姿勢を整えるとともに、お尻にかかる圧力を分散し、褥瘡(じょくそう・床ずれ)を強力に防止してくれます。 個人的には、「汚れてもカバーを洗えば、本体は拭くだけでOK」なのが本当にありがたいです。中綿のクッションのように洗濯でへたる心配がないのは、高価な買い物だからこそ嬉しいメリットだと思います。


※ご購入前に必ずご確認ください

施設やご本人様の状態によっては、特定の形や素材を指定される場合もあります。ネットで購入される前に、この画面を職員に見せて「これで大丈夫ですか?」と一言確認していただくのが一番確実です!

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