1. はじめに
「看取りの意思表示」という言葉を聞くと、胸がぎゅっとなる方も多いと思います。 施設から「考えていますか?」と尋ねられ、思わずアワアワしてしまう——そんな反応は、とても自然なことです。
この記事は、「まだ何も考えていない!」という方に向けて書いています。 考えていなくても大丈夫であること、その理由、そしてどう伝えればいいのかを、ゆっくりお話しします。 少しでも、あなたの心が軽くなりますように。
2. 考えていない、で大丈夫
看取りは、誰にとっても重く、向き合うのが難しいテーマです。 大切な人の最期を想像するだけで、胸が痛むのは当然のこと。
私が施設でお話を伺うと、「実は何も考えていなくて…」という方は決して少なくありません。 むしろ“多数派”と言っていいほどです。 考えられない、考えたくない——その気持ちは、とても自然で、人として当たり前の反応なのです。
3. なぜ施設は意思表示を聞くのか
施設が意思表示を尋ねるのは、「今すぐ決めてください」という意味ではありません。 高齢になると、どれだけお元気でも、急な体調変化が起こる可能性があります。 そのときに慌てず、ご家族様の負担を少しでも減らすため、事前に“方向性”を知っておきたいのです。
また、施設は「どこまで考えているのか」を知ることで、必要なサポートを選び取ります。 まだ考えられていないのか、少しだけ考え始めているのか——その違いで、提供できる支援が変わるからです。
この背景を知るだけで、「聞かれたらどうしよう」という焦りが、少し和らぐのではないでしょうか。
4. 考えていないことを伝えるメリット
「考えていない」と伝えることは、決してマイナスではありません。 むしろ、そこから必要なサポートが始まります。
- 基礎的な看取りのセミナーの紹介
- 延命治療について学べる勉強会の案内
- 他のご家族様の考えを知れる家族会への参加
こうした“考えるきっかけ”を、施設側が用意できるようになります。
「また今度お伝えします」と先延ばしにするより、 「まだ考えられていません」と伝えるほうが、結果的にメリットが大きいのです。
5. どう伝えればいい?焦らず言えるフレーズ例
施設からの質問は、言い方も内容もさまざまです。 そんなときに使える、やわらかいフレーズをいくつかご紹介します。
- 「まだ具体的には考えられていません」
- 「家族とも話せていないので、今は決められません」
- 「家族の意見がまとまっておらず、私だけでは判断できません」
- 「考えるきっかけが欲しいです」
- 「情報をいただけると助かります」
どれも、あなたの状況をそのまま伝えるだけで大丈夫です。 無理に立派な答えを用意する必要はありません。
6. 考えるきっかけをつくる方法
考えるきっかけは、実は身近なところにあります。
- 施設が開催する勉強会に参加してみる
- 診察の際に、看護師や医師に今後の病状について聞いてみる
- 家族で施設の話をしたときに、少しだけ最期の話題を触れてみる
厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」でも、 “繰り返し話し合うこと”が大切だとされています。
気持ちは揺れ動くものですし、結論はすぐに出るものではありません。 少し話題に出せた——それだけで、もう立派な一歩です。
7. まとめ:今は考えていなくても大丈夫
看取りは、“今すぐ決めるもの”ではありません。 施設から尋ねられたときは、まず「考えていない」と伝えるだけで十分です。
施設は、その状態に合わせてサポートを整えます。 焦らず、ゆっくりで大丈夫。
「考えていない」という現状を受け止めたあなたは、すでに一歩前に進んでいます。
8. おまけ
一人で考えるのがしんどい、つらい——そんなお気持ちも、きっとあると思います。 看取りの話題は、身近な人ほど相談しづらいこともありますよね。
もし、心の中に抱えているものをそっと誰かに聞いてほしいときは、 オンラインカウンセリングのような“第三者に話せる場所”を使うのも一つの方法です。 誰かに話すことは、自分を守るための大切な手段でもあります。


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